セマグルチドと非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)リスクの関連
新たな研究結果によると、セマグルチドは非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)のリスクをわずかながらも有意に上昇させることが示されました。NAIONのリスクはSGLT2阻害薬を使用している人々と比較して約2倍高かったものの、絶対リスクは10,000人あたり約29人と依然として低いとされています。NAIONは「眼の脳卒中」とも呼ばれ、視神経への血流が突然失われることで視力低下を引き起こします。
臨床的推奨事項
研究著者であるJennifer S. Lee医師は、臨床医に対し、この稀だが深刻な視力喪失リスクとセマグルチドがもたらす心血管代謝上の大きな利点を比較検討するよう提言しています。また、患者に対しては、特に突然の視覚変化を経験した場合、迅速な評価を求めるよう助言することを推奨しています。
研究の詳細
発表: JAMA Ophthalmology
対象: 2型糖尿病の米国退役軍人。セマグルチド開始者11,478人 vs SGLT2阻害薬(主にエンパグリフロジン)開始者90,883人。
期間: 2018年3月1日~2025年3月1日
方法: 年齢、BMI、A1c、性別、人種で両グループを調整。
結果:
中央値2.1年の追跡期間で、NAION発症率はセマグルチド群で10万人年あたり123人、SGLT2阻害薬群で67人。
調整後、セマグルチドによるNAIONリスクは2.3倍高かった(ハザード比[HR], 2.33, P < .001)。
最長7.5年の追跡期間では、NAIONの累積発生率はセマグルチド開始者で0.29%、SGLT2開始者で0.13%。
NAION発症メカニズムの仮説
関連性のメカニズムは不明ですが、低血圧、消化器系の副作用による体液量減少、急速な血糖改善による眼の微小血管へのストレス、視神経乳頭における血管自己調節障害などが仮説として挙げられています。
他の研究との比較と今後の課題
GLP-1受容体作動薬、特にセマグルチドとNAIONを関連付ける観察研究が増えている一方で、関連性が認められない研究も存在します。これは、NAION症例の特定方法など、研究方法論の違いに起因する可能性が指摘されています。さらなる研究により、これが薬剤クラス全体のエフェクトなのか、セマグルチド特有のものなのかを特定する必要があります。
臨床現場での考慮事項
Joseph F. Rizzo III医師は、セマグルチドは多くの患者に非常に有用であるとしながらも、過去に何らかの視力喪失を経験した患者や、既存の視神経疾患、NAIONの既往がある患者には、処方時に眼科的リスク因子を考慮すべきだと述べています。絶対リスクは低いものの、患者に情報を提供し、自己判断を促すことが重要とされています。
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元記事:Eye Condition Risk Elevated With Semaglutide, but Still Low