GLP-1受容体作動薬と虚血性視神経症(ION)のリスクに関する研究
主要な知見
2型糖尿病の成人において、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は、SGLT2阻害薬およびDPP-4阻害薬と比較して、18ヶ月間の虚血性視神経症(ION)の発生率が高いことが、米国の保険請求データ分析により示されました。ただし、絶対リスクは低いこと、また研究デザインの限界があるため、結果は慎重に解釈すべきであると研究者は述べています。
研究方法
研究者は、糖尿病治療薬を服用している患者におけるIONのリスクを調査するため、Merative MarketScan Commercial Claims and Encountersデータベースの2017年1月から2022年12月までのデータを分析しました。
参加者: 18~65歳の2型糖尿病成人で、GLP-1 RA (n = 161,489)、SGLT2阻害薬 (n = 122,114)、またはDPP-4阻害薬 (n = 86,047) のいずれかを新規に開始した患者が含まれました。
主要評価項目: 18ヶ月間の新規IONの発生(非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の代理指標として)。
80以上のベースライン共変量を傾向スコアを用いて調整しました。
具体的なリスク差
GLP-1 RA使用者 vs SGLT2阻害薬使用者:
18ヶ月間のIONリスクは、GLP-1 RA使用者で患者10,000人あたり8.5症例、SGLT2阻害薬使用者で5.5症例でした。
リスク差は10,000人あたり3症例(95% CI, 0.4-5.7)でした。
GLP-1 RA使用者 vs DPP-4阻害薬使用者:
GLP-1 RA使用者で10,000人あたり4.2症例、DPP-4阻害薬使用者で7.8症例でした。
リスク差は10,000人あたり3.6症例(95% CI, 1.1-6.1)でした。
GLP-1 RA使用者におけるIONイベントの傾向:
発生したIONイベント81件のうち、69件(85.2%)は50歳以上の患者で発生しました。
81件中57件(70.3%)は男性で発生しましたが、GLP-1 RAの新規開始者全体では女性が55%を占めていました。
臨床的意義と考慮点
IONの絶対リスクは非常に低いものの、2型糖尿病患者および非患者におけるGLP-1 RAの急速な使用拡大は、潜在的な関連性の臨床的および公衆衛生上の重要性を高めています。もし因果関係がある場合、この知見はIONのベースラインリスクが高い高齢者や男性に最も関連がある可能性があります。同時に、潜在的な安全性シグナルは、GLP-1 RAの確立された心血管代謝上の利点と比較検討されるべきです。
研究の限界
2型糖尿病の重症度や罹病期間など、治療選択に影響を与えうる因子に関する情報が不足していました。
BMI、喫煙歴、HbA1cなど、いくつかの重要な交絡因子に関する情報が不足していました。
- NAIONの代理指標としてIONの診断コードに依存していました。
資金源
米国国立衛生研究所が研究の主要な資金源でした。