2型糖尿病患者における敗血症発症リスクの増加
概要
2型糖尿病(T2D)患者は、T2Dを持たない対照群と比較して、敗血症の発症リスクが2倍以上高いことが明らかになりました。このリスク増加は、特に男性および60歳以下の個人で顕著でした。
研究背景と目的
敗血症は感染症に起因する生命を脅かす臓器機能障害であり、世界的に死亡原因の主要な一つで、死亡率は10%を超えます。T2D患者は敗血症を発症する可能性が2〜6倍高く、予後も悪いことが知られていますが、現代のデータは不足していました。本研究は、T2D患者における敗血症の発生率を明らかにすることを目的とした縦断的観察研究です。
研究方法
研究者らは、1430人のT2D患者と、年齢、性別、郵便番号を一致させた5720人のT2Dを持たない対照者を対象に研究を実施しました。全コホートの平均年齢は66歳で、52%が男性でした。両コホート間で、10年間の年齢別および全体の敗血症発生率が比較されました。
主要な結果
研究開始時において、T2D患者の2.0%が敗血症による入院歴があったのに対し、対照群では0.8%でした(P < .001)。
73,139人年の追跡期間中、敗血症はT2D患者の11.8%に発症し、非糖尿病患者の5.0%に発症しました(P < .001)。
全体の発生率比は2.38(95% CI, 1.96-2.89)であり、T2Dが敗血症発症リスクを2倍以上増加させることと関連していました(ハザード比, 2.16; 95% CI, 1.78-2.62)。
この発生率比は、60歳以下の患者でより顕著でした。
- 敗血症の発症リスクは、男性およびアボリジニ系の人々でより顕著でした。
臨床的意義
研究著者らは、「2型糖尿病患者は敗血症発症リスクが2倍になるが、60歳以下の場合はその差がさらに顕著である」と述べています。修正可能なリスク因子として喫煙と高血糖が挙げられ、慢性合併症や併存疾患の予防も不可欠であると指摘しています。
研究の限界
本研究には、採用バイアスの可能性や、追跡期間中の治療管理の変化が考慮されていないという限界があります。
発表元
本研究は、W.A. Davis氏(西オーストラリア大学医学部)が主導し、2025年9月15日〜19日にウィーンで開催される欧州糖尿病学会(EASD)2025年年次総会で発表される予定です。