思春年前の抗生物質曝露と若年成人期の過敏性腸症候群(IBS)との関連性

思春期前の抗生物質曝露が若年成人における過敏性腸症候群(IBS)と関連

スウェーデンの前向き出生コホート研究から、思春期前から成人初期にかけての抗生物質曝露が、24歳時点での過敏性腸症候群(IBS)のリスク増加と関連していることが示されました。特に、複数回の処方を受けた個人では、この関連性がより強力でした。

研究方法とデータ

コホート: BAMSEと呼ばれるスウェーデン人口ベースの出生コホート研究のデータを使用。

参加者: 4089人の登録者のうち、IBSステータスを評価するのに十分な情報を持つ2853人を対象。炎症性腸疾患やセリアック病の患者は除外。

抗生物質曝露: スウェーデン処方薬登録データを用いて、参加者が約9〜11歳だった2005年から23歳までの処方履歴を客観的に評価。IBS評価の1年前の処方は逆因果関係を減らすために除外。

IBS診断: 24歳時点でRome IV診断基準に基づき評価。

調整因子: 性別および家族の社会経済的地位で調整。

主要な研究結果

IBS有病率: 24歳時点で参加者の10.0%がIBS基準を満たし、その79.4%が女性でした。

全体的な関連: 抗生物質の使用は、IBSのリスク増加と関連していました(調整済みオッズ比 [OR], 1.5; 95% CI, 1.0-2.2)。

用量反応パターン: 累積処方回数が増えるにつれてIBSのオッズが増加する用量反応パターンが確認されました。

抗生物質なしと比較して

1-2回の処方: OR 1.3 (95% CI, 0.9-2.0)

3-5回の処方: OR 1.6 (95% CI, 1.0-2.4)

6回以上の処方: OR 1.7 (95% CI, 1.1-2.6)

この傾向は統計的に有意でした (P for trend < .001)。

抗生物質の種類による違い:

セファロスポリン: 3回以上のセファロスポリン処方を受けた参加者は、IBSのオッズが6倍高かった(OR, 6.0; 95% CI, 1.9-18.8)。

テトラサイクリン: いずれかの使用でIBSと統計的に有意な関連を示しました(調整済みOR, 1.4; 95% CI, 1.1-1.8)。

考察と臨床的示唆

メカニズム: 抗生物質が腸内細菌叢を変化させる可能性や、感染症自体がIBSリスクを高める可能性が考えられますが、因果関係は本研究では確立されていません。

今後の研究: 抗生物質曝露のタイミング、基礎となる感染症、腸内細菌叢の変化をさらに調査する必要があるとされています。

  • 臨床的示唆: 本研究結果は、適切な抗生物質治療を妨げるものではありませんが、「抗生物質は必要不可欠な場合にのみ使用すべき」という一般的な原則を再確認するものです。

元記事:Early Antibiotic Exposure Linked to IBS Risk