FDA、モノクローナル抗体薬の非ヒト霊長類での毒性試験を削減・中止するガイダンスを発表

FDA、モノクローナル抗体医薬品の非ヒト霊長類(NHP)毒性試験を削減・中止する新ガイダンスを発表

米国食品医薬品局(FDA)は、新薬の動物実験削減に向けた継続的な取り組みの一環として、モノクローナル抗体医薬品の非ヒト霊長類(NHP)毒性試験を削減または中止するための新たなドラフトガイダンスを公表しました。

主要な変更点と背景

6ヶ月間のNHP毒性試験の廃止: 単一標的(モノスペシフィック)抗体について、カニクイザルやアカゲザル、マーモセットなどのNHPを用いた6ヶ月間の毒性試験の要件が削除されました。

代替評価方法: 今後は、NHP、犬、ミニブタといった非げっ歯類を用いた3ヶ月間の試験データと、類似抗体からのデータに基づく「weight-of-evidence(WoE)リスク評価」を組み合わせて外挿することが可能になります。

科学的根拠: 小分子医薬品とは異なり、抗体は肝臓での「生体内変換」による代謝を受けないため、潜在的に毒性のある代謝物を生成するリスクが低いという点が根拠とされています。

適用範囲と今後の展望

このガイダンスは、多特異性抗体、抗体薬物複合体、または抗体断片に基づく薬剤には適用されません

FDAは、AI(人工知能)や計算手法、ヒト細胞株、オルガノイド(ヒト細胞・組織から作られた臓器様構造)など、よりヒトの生理機能に関連する代替方法による動物実験の削減・代替を目指しています。

同様の取り組みは、EUや英国でも進められています。

FDAコミッショナーのコメントと期待される効果

FDAコミッショナーのマーティ・マカリー氏は、「動物実験の要件を排除するというロードマップのコミットメントと、米国人のための治療法加速の約束を果たしている」と述べました。

また、「現代科学は、動物実験よりもはるかに効果的で人道的な医薬品安全評価方法を提供している」とし、この改革が医薬品の市場投入までの時間短縮、研究開発コストの削減、ひいては医薬品価格の低下につながる可能性に言及しました。

FDAの試算では、モノクローナル抗体製品の非臨床プログラムには100匹以上のNHPが使用され、1匹あたり約5万ドルの費用がかかるとされています。しかし、動物毒性試験をクリアしても、多くはヒトでの安全性や有効性の問題によりFDA承認に至らない現状があります。

元記事:FDA takes steps to limit non-human primate testing