AstraZeneca、肺がん治療薬候補の後期臨床試験で失敗
AstraZenecaのAKT阻害剤ceralasertibと癌免疫療法薬Imfinziの併用療法が、肺がんの後期臨床試験で主要評価項目である全生存期間の延長に失敗しました。
LATIFY試験の結果
試験名: フェーズ3 LATIFY試験
対象: 前治療(一次免疫療法と化学療法)後に進行した、標的治療の対象とならない広範な非小細胞肺がん(NSCLC)患者。
治療群: ceralasertib + PD-L1阻害剤Imfinzi (durvalumab) と、標準的な二次治療薬であるドセタキセル。
結果: 全生存期間において統計的に有意な差は認められませんでした。ただし、併用療法は忍容性が良好でした。
ATR阻害剤と「合成致死」の概念
ATRはDNA損傷応答に関与するキナーゼであり、「合成致死」の概念に基づいた新たな癌治療薬開発の主要な標的として、製薬会社から大きな期待が寄せられていました。この戦略は、特定の変異を持つ悪性細胞の生存経路を遮断するもので、AstraZenecaのPARP阻害剤Lynparza (olaparib)などの成功例があります。
開発の難航と他社動向
ceralasertibの失望的な結果は初めてではなく、以前にも皮膚がん(メラノーマ)の研究が中止されています。また、他のATR阻害剤も同様の困難に直面しており、Bayerのelimuserib(2023年開発中止)、Merck KGaAのberzosertib(2020年臨床試験開始後棚上げ)などが含まれます。昨年にはRocheがRepare Therapeuticsのcamonsertibの権利を返還し、開発の継続はRepareに委ねられています。
AstraZenecaの今後の取り組み
AstraZenecaは、NSCLCの術後補助療法としてceralasertibとImfinziを評価する別のフェーズ3試験(630名の患者を対象、2028年結果予定)を進行中です。また、固形がんにおけるフェーズ2プログラムも継続しています。
AstraZenecaの腫瘍・血液学R&D責任者であるSusan Galbraith氏は、「LATIFY試験の結果には失望しているが、業界をリードするポートフォリオを通じて、肺がん患者の転帰を改善するという緊急のニーズに対応するため、新しい医薬品の開拓に引き続き取り組んでいく」とコメントしました。