糞便微生物叢移植(FMT)がうつ病症状を緩和する可能性:メタアナリシス
南京中医薬大学附属江蘇省中医院看護学部の研究者らによるランダム化試験のメタアナリシスは、糞便微生物叢移植(FMT)がうつ病症状を緩和する可能性があることを示唆しています。特に、内視鏡または浣腸による投与でより強い効果が報告されました。この研究では、過敏性腸症候群(IBS)を併発する患者においても改善が見られました。
背景:うつ病と腸脳相関
2021年の世界的な推定では、うつ病患者は2億8千万人を超えるとされています。多くの患者は、既存の薬物療法や心理療法では十分な緩和を得られていません。近年、腸脳相関(microbiota–gut–brain axis)に関する研究が進み、うつ病患者における腸内細菌叢の変化や、微生物代謝産物と気分調節との関連が指摘されています。IBSのような腸脳相互作用の障害は精神医学的併存症が高いことから、微生物叢を標的とした戦略が症状緩和の候補として位置づけられています。
研究概要と方法
「Clinical efficacy of fecal microbiota transplantation in alleviating depressive symptoms: a meta-analysis of randomized trials」と題された本研究は、Frontiers in Psychiatry誌に発表されました。研究者らは、腸内微生物バランスの回復が気分の改善につながるかを判断するため、ランダム化比較試験を統合しました。
対象期間と地域: 2019年から2024年にかけて、中国、オーストラリア、カナダ、フィンランド、米国で実施された12件のランダム化試験。
参加者: 347人の治療群と334人の対照群。
比較対象: FMTとプラセボ、自己移植、または標準治療。
投与方法: 経口カプセル、大腸内視鏡、胃内視鏡、空腸、直腸、または経内視鏡的投与など、研究デザインに応じた方法。
追跡期間: 2週間から12ヶ月。
主要な研究結果
結果は、FMTが対照群と比較してうつ病症状の全体的な軽減をもたらすことを示しました。
投与経路による効果: 経口カプセルと直接的な消化管投与(例: 大腸内視鏡や浣腸)の両方で有意な効果が見られましたが、大腸内視鏡や浣腸などの直接経路の方が経口投与よりも大きなプール効果を示しました。
効果の持続性: 短期的および中期的には効果が認められましたが、6ヶ月以降の長期的効果は統計的に有意な改善には達しませんでした。
サブグループ解析: 臨床サブグループ解析では、IBSコホートにおいて、大うつ病性障害、パーキンソン病、進行性核上性麻痺-リチャードソン症候群などの神経学的または精神医学的疾患よりも大きな効果が示唆されました。
- 出版バイアス: 研究全体で出版バイアスは最小限であると評価されました。
結論と今後の展望
著者らは、FMTがうつ病症状に対する補助的な選択肢として機能する可能性があると結論付けています。特に、IBS患者や、内視鏡または浣腸による直接投与がカプセルよりも好ましい効果を示す兆候があります。しかし、6ヶ月を超える効果の持続性については依然として不確実であり、より長期間にわたる高品質なランダム化試験や追加的な投与量に関する研究が求められています。
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元記事:Fecal microbiota transplant may help patients with IBS and depressive symptoms
