子宮内膜症患者における自傷行為、過剰摂取、自殺リスクの増加
概要
子宮内膜症患者は、年齢・性別・地域・精神科受診歴・自傷行為歴でマッチさせた対照群と比較して、自傷行為、過剰摂取、または自殺のリスクが42%高いことが明らかになりました。このリスクは、特に精神科医療サービスの利用が最小限または全くない患者で顕著でした。
方法論
研究者らは、カナダのオンタリオ州における2010年1月から2022年7月までの行政保健データを用いた、住民ベースの後ろ向きマッチドコホート研究を実施しました。
- 分析対象:子宮内膜症の初回診断を受けた18〜50歳の女性56,053人。
- 対照群:年齢、性別、国勢調査区画、精神科受診勾配、自傷行為歴に基づいて1:2でマッチングされた112,106人。
- 主要評価項目:意図的な自傷行為、偶発的または不明な意図による中毒や過剰摂取、および自殺の複合アウトカム。自殺データは2018年12月31日まで利用可能。
- 精神科受診歴:診断前2年間の精神科受診状況(受診なし、外来、救急部門受診、入院)を勾配として定量化。
結果
- 子宮内膜症患者は、マッチド対照群と比較して、複合アウトカムのリスクが有意に増加していました(調整ハザード比[aHR], 1.42; 95% CI, 1.27-1.59)。
- 具体的には、意図的な自傷行為(aHR, 1.37; 95% CI, 1.22-1.54)と中毒または過剰摂取(aHR, 1.42; 95% CI, 1.29-1.56)のリスク上昇が認められました。
- 精神科受診歴がない、または外来のみの患者で、リスク上昇が最も高かった(それぞれaHR, 1.88; 95% CI, 1.54-2.30およびaHR, 1.30; 95% CI, 1.11-1.51)。
- 自傷行為の絶対的な発生率は精神科受診勾配とともに増加し、精神科受診歴が多い個人では子宮内膜症診断よりも精神科歴がより影響を与える可能性が示唆されました。
臨床的意義
本研究の結果は、子宮内膜症と新たに診断された患者の精神的健康ニーズを考慮することの重要性を強調しています。がん診断後の自殺リスク増加が、診断前の精神科受診歴が少ない患者で主に発生するというデータと一致するものです。
限界
行政データを使用しているため、誤分類の可能性があり、子宮内膜症の重症度、治療反応、症状発現から診断までの時間差などの臨床情報が不足しています。これらの情報不足が、子宮内膜症と自傷行為アウトカムとの関係をより詳細に理解することを制限しています。
元記事:Self-Harm Risk Elevated Following Endometriosis Diagnosis