小児の敗血症早期予測にAIモデルが貢献
救急科(ED)を受診する高熱の小児患者において、敗血症を発症するリスクのある患者を特定することは「干し草の山から針を探すようなもの」とされており、生命を脅かす敗血症に進展する少数の子どもを特定することが長年の課題でした。
新しいAIモデルの導入
この課題に対し、新しい人工知能(AI)モデルが開発され、臓器機能不全が発生する前に小児の敗血症高リスク患者をより具体的に特定し、低リスク患者には不必要な迅速な介入を避ける可能性が示されました。このモデルは、小児敗血症の定義を標準化するために国際的な合意形成を経て開発された新しいPhoenix Sepsis Criteriaを用いたAIベース予測の初の応用例です。
研究デザインとモデル性能
Elizabeth Alpern医師率いる研究チームは、ED受診後最初の4時間で収集された日常的な電子健康記録(EHR)データを用いて、48時間以内の敗血症を高い精度で予測する機械学習モデルを開発・検証しました。
- 対象患者: 2か月から18歳未満の患者で、最初の4時間の観察期間中に敗血症ではなかった。
- データ: Pediatric Emergency Care Applied Research Networkの5つの医療システムにおける160万件以上のED受診データ。
- 予測変数:
- トリアージの重症度
- 年齢調整されたバイタルサイン
- 医療の複雑さを示すマーカー
- モデル: ロジスティックリッジ回帰と勾配ブースティングツリーを使用。
- 予測基準: 疑われる感染症に加えてPhoenix Sepsis Criteriaスコアが2以上、または48時間以内の死亡。
- 性能: 勾配ブースティングツリーモデルは、敗血症予測においてAUROC 0.94(95% CI, 0.93-0.94)を達成し、敗血症性ショック予測でもAUROC ≥ 0.92と高い性能を示しました。人口統計学的グループ間でも公平な結果が得られました。
臨床的意義と今後の展望
このモデルは、EDで日常的に収集されるデータのみに依存するため、EHR入力と臨床医の判断を統合したアラートベースのシステムとして構想されています。これにより、敗血症の評価が必要な子どもの数を絞り込むことが可能となり、1件の敗血症に対し約45〜68件の評価で済むとされています。今後の研究では、リスク閾値の洗練、予測値の向上、EDワークフローに組み込んだ際のモデル性能評価に焦点が当てられますが、これは「すぐに使えるツール」ではなく、慎重な実装が必要であると強調されています。研究はNIHの資金提供により行われました。