CHAMPION-AF試験:低リスク心房細動患者における左心耳閉鎖術(LAAC)と非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の比較
ニューオーリンズで開催されたアメリカ心臓病学会の年次総会で発表され、「The New England Journal of Medicine」に同時掲載されたCHAMPION-AF試験の結果によると、抗凝固療法が適応となる低リスクの心房細動患者において、デバイスを用いた左心耳閉鎖術(LAAC)は、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)療法と主要心血管イベントの予防においてほぼ同等であることが示されました。しかし、脳卒中リスクを低減するためのNOAC療法の代替となり得るかについては未解決の課題が残っています。
研究デザインと主要評価項目
この研究では、Watchman FLXというLAACデバイスが評価されました。
3年間の解析には、LAAC群1319名とNOAC群1305名が含まれました。LAAC群は3ヶ月間のNOAC療法(アスピリン併用または非併用、あるいは二重抗血小板療法)後にアスピリンを継続しました。
両治療群はCHA2DS2-VAScスコア(平均3.5)およびHAS-BLEDスコア(平均1.3)でよく一致していました。
主要評価項目である心血管死、脳卒中、全身性塞栓症の複合イベント発生率は、3年時点でLAAC群が5.7%、NOAC群が4.8%でした(P < .001)。この1%未満の差は、非劣性を確立するための閾値を下回っていました。
副次評価項目と安全性
虚血性脳卒中の発生率は、3年時点でLAAC群が3.2%、NOAC群が2%と、LAAC群でやや高い傾向が見られました(年間換算で約0.33%の差)。
非処置関連出血の発生率は、LAAC群が10.9%、NOAC群が19%と、LAAC群で優位に低い結果でした(P < .001)。
国際血栓止血学会の定義による大出血の発生率は、NOAC群が6.4%、LAAC群が5.9%と、両群で近い値でした。
心血管死、脳卒中、全身性塞栓症、非処置関連出血を組み合わせた正味臨床的利益の副次評価項目では、LAAC群が15.1%、NOAC群が21.8%と、LAAC群で「非常に統計学的に有意な」差が認められました(P < .001)。
費用とその他の利点
研究では費用は検討されていませんが、Saibal Kar医師はLAACには特定の費用上の利点があると指摘しました。LAACの手術費用は一括で発生する一方、抗凝固薬の費用には長期的な薬の必要性や出血に関連する入院・合併症の費用が含まれていないと述べました。
また、抗凝固療法では手術時に薬を中断する必要があり、その期間に脳卒中のリスクが高まるという欠点も指摘されました。
研究の限界と専門家の見解
Kar医師は、この結果が全てのLAACデバイスや植込み後の薬物プロトコルに適用されるわけではないこと、また重度の心不全や駆出率低下のある患者には適用されない可能性があることを認めました。
研究に関与していない専門家からは、以下の点が指摘されました。
CHAMPION-AFの患者は低リスクであり、LAACの好ましい結果は、患者層が元々低リスクであったためかもしれない。対照群がないため、LAACの真の有効性は不明である。
ドイツのCLOSURE-AF試験では、高リスク患者においてLAACが内科的治療よりも脳卒中予防効果が劣るという結果が出ており、CHAMPION-AFの結果と矛盾する。
最近の心房細動研究では、非劣性評価の基準が緩和されている傾向がある。
LAACの急性期手技リスクと長期的な利益を比較検討する必要がある。
- 抗凝固薬は脳卒中予防において「非常に安全で非常に効果的」である。
LAACが脳卒中予防において抗凝固薬に代わる選択肢となり得るかについては、さらなる議論が必要であると結論付けられました。