英国、NHS向け新薬の還付率を14.5%に引き下げ決定
英国政府は、UK-US製薬貿易協定の発表を受け、NHSに供給される新薬に対する自主的医薬品価格・アクセススキーム(VPAG)に基づく還付率を来年14.5%に設定すると確認しました。これは、今年の過去最高水準である22.5%から大幅な引き下げであり、貿易協定で約束された「今後3年間15%を超えない」という公約を果たすものです。
製薬業界の反応と課題
英国製薬産業協会(ABPI)は、この上限設定が「企業に2028年までのより大きな確実性をもたらす」として歓迎しました。しかし、ABPIの最高責任者であるリチャード・トーベット氏は、この低いVPAG率が「英国をより競争力のある立場に戻すための第一歩に過ぎない」と注意を促しました。還付率は依然として他の比較対象国よりも高く、「患者ケアを向上させるためにNHSによる費用対効果の高い医薬品の採用と使用を加速する作業が必要」であると述べました。
スキームの詳細と今後の展開
現在のVPAG: 2024年から2028年まで実施されており、製薬会社はNHSの新薬需要が予算上限を超過した程度に応じて、売上高の一定割合を還付します。
旧薬の還付率: 2026年も変更なく、各旧薬の売上高に対し10%から35%が適用されます。
追加拠出: 来年、英国の健康・ライフサイエンス部門インフラ改善投資を支援するための合意済み自主的拠出として、新薬・旧薬の還付率に追加で1%が上乗せされ、実質的な還付率は15.5%となります。
参加決定: 企業は12月16日までに任意スキームへの参加を決定する必要があり、参加しない場合は、2026年の還付率が24.3%の並行法定スキームに移行します。
- 将来のスキーム: 政府は2029年から施行される「より持続可能な」新スキームについて、業界との協議を開始することに合意しました。
UK-US貿易協定の影
このUK-US貿易協定は、米国への輸入関税を0%に維持することを主眼としていますが、その見返りとして、英国の医療技術評価(HTA)フレームワークの変更により、NHSが使用する医薬品の価格が25%上昇する可能性があります。この協定は英国の製薬業界や医学研究機関からは歓迎されましたが、英国議会では批判されています。野党の自由民主党は、この協定がNHSの最前線サービスから数十億ポンドを流用すると主張し、議員による採決を求めています。政府は、資金は2025年の支出見直しですでに割り当てられたものから賄われると主張しています。