AI創薬のパイオニア、Insilico Medicineが香港でIPOを達成、22.8億香港ドルを調達

Insilico Medicine、香港でAI駆動型バイオテックとして初の大型IPOを達成

AI駆動型創薬のパイオニアであるInsilico Medicineは、香港証券取引所(HKEX)で新規株式公開(IPO)を完了し、22.8億香港ドル(約2.93億ドル)を調達しました。これは今年の香港における最大のIPOであり、またAI駆動型バイオテック企業としては初の事例となります。米国と香港に拠点を置く同社は、Eli LillyやTencentといった大手企業を含む多くの投資家からの支援を受けていました。

IPOの背景と市場の動向

今回のIPOは、複数回のプライベート資金調達ラウンドを経て行われ、これにより同社の総調達額は10億ドルを優に超えました。株式は1株24.05香港ドルで提供され、すぐに37香港ドル以上に上昇し、Insilicoの時価総額は207億香港ドル(約27億ドル)に達しました。

このIPOの成功は、創薬におけるAIへの勢いが高まっている中で達成されました。AIは従来の創薬期間を短縮し、いくつかの臨床的成功ももたらしています。

  • 武田薬品工業がAI設計のTYK2阻害剤zasocitinibで乾癬におけるフェーズ3試験に成功。
  • Recursion PharmaのMEK1/2標的薬REC-4881が家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)でフェーズ1/2の好結果。

Insilicoのパイプラインとプラットフォーム

2014年設立のInsilicoは、主要候補薬であるrentosertib(旧ISM001-055)を特発性肺線維症(IPF)のフェーズ2a試験に進めており、初期データはNature Medicine誌に掲載され、有望な結果を示しています。この薬剤は、Insilicoの生成AI(GenAI)プラットフォームPharma.AIを用いて開発され、組織の線維化に重要な役割を果たすとされる新規標的TNIK(Traf2- and NCK- interacting kinase)を阻害します。

同社は、他にも10以上の候補薬について臨床試験開始の規制当局承認を得ており、線維症、がん、免疫、炎症、心血管代謝、中枢神経系(CNS)疾患にわたる30のプログラムが進行中です。

提携と将来展望

Insilicoの豊富なパイプラインを生み出すプラットフォームは、製薬メーカーからの注目も集めており、Lilly、Exelixis、Sanofi、Fosun Pharma、Menariniといった企業と、合計で数十億ドル規模に上る提携契約を結んでいます。

Insilicoの最高事業責任者であるAlex Zhavoronkov氏は、「過去数年間で、AIが創薬をより速く、安く、そして前臨床および初期臨床開発における成功率を高めることができるという明確な業界ベンチマークを設定しました」と述べています。彼はさらに、「新規標的発見から分子生成、そして前臨床および臨床段階に至るまで、AIを活用したプログラムのエンドツーエンドの能力を検証しました。今後もAIプラットフォームと革新的なパイプラインへの投資を増やし、差別化された革新的なプログラムの臨床への進展を加速させていきます」とコメントしています。

元記事:Insilico ends 2025 with $293m Hong Kong IPO