小児病院医は抗菌薬適正使用において重要な役割を担う
抗菌薬耐性(AMR)は現代医療における深刻な脅威であり、感染症治療の困難化、医療費増加、入院期間延長、死亡者数増加の原因となっています。専門家は、最適な抗菌薬使用を促進する協調的努力である抗菌薬適正使用(Antimicrobial Stewardship)が、これらの問題を改善し、医療費削減にも繋がると指摘しています。
小児科における過剰処方問題
小児病院医は多くの抗菌薬を処方しており、その全てが適切とは限りません。ある研究では、米国32の小児病院において、小児入院患者の3人に1人が抗菌薬を投与されており、そのうち4分の1が「最適ではない治療」を受けていることが判明しました。不適切な使用の主な原因は、菌と薬剤の不一致、24時間以上の手術予防、広すぎる経験的治療、不必要な治療でした。
抗菌薬適正使用のための考慮事項
抗菌薬適正使用を推進するためには、以下の4つの領域を考慮する必要があります。
- 検査のタイミング: 臨床的に必要とされる場合のみ
- 検査の内容: 最も適切な検査の選択
- 検査の方法: 適切な検体採取
- 検査の解釈: 臨床的背景が重要
目標は、適切な薬剤を、適切な用量で、適切な患者に、適切な期間投与することで、抗菌薬の使用を最適化することです。
アンチバイオグラムの活用
アンチバイオグラム(特定の微生物に対する抗菌薬感受性試験結果の全体的なプロファイル)の活用は非常に重要です。病院内でも病棟によって菌のパターンが異なる場合があるため、可能な限り地域特異的、小児科特異的、病棟特異的なデータを使用し、定期的に情報を更新することが推奨されます。
小児科に特化した情報と連携
小児患者にとって、成人向けではなく小児科特有の情報が不可欠です。病院内の薬剤師、感染予防チーム、微生物検査室など、主要な関係者を巻き込み、抗菌薬適正使用プログラムを品質改善プログラムに組み込むことが有効です。小児科に特化した指標を追跡し、改善を実証することも重要です。
ペニシリンアレルギーの誤認識解消
CDCによると、人口の10%がペニシリンアレルギーを報告していますが、実際にアレルギーを持つのは1%未満です。この誤認識により広域抗菌薬が使用されがちであるため、ペニシリンアレルギーの誤認識を積極的に解消(delabeling)することで、より狭域の抗菌薬の使用を促進し、AMRの減少に貢献できます。
正式なプログラムや専門知識は不要
抗菌薬適正使用を効果的に行うために、感染症の専門家である必要はなく、また病院に正式なプログラムがなくても実践は可能です。薬剤師を含む主要なチームメンバーとの連携が非常に有効です。
臨床医への実践的ポイント
- 菌血症や真菌血症の検出において、血液培養の検体量が最も重要な変数であることを認識し、適切な量を確保する。
- 回診中に各患者の抗菌薬計画を日々再評価し、新しい検査結果や患者の臨床状態に応じて調整する。
- 回診中に抗菌薬計画を議論することで、研修医などの研修生に抗菌薬適正使用の思考プロセスを教育する機会とする。